ブッチはいつもふざけたことばかり言っていたのに、自分のショーになるとオーラを変えて自分の世界を作りあげる。オーケストラがブッチの子供であり、細胞であり、戦隊であるような旋律を描くとき、ブッチのつくるその空間は宇宙みたいだった。私には少し難しい音楽を、ブッチは眉をひそめながら流れを描くように導いていた。演奏が終わると、いつものあの顔でやってきた。あの、はじけるような笑顔で。
私が新しいレストランのArcaneに移っても、旅をしているとき以外、ブッチは毎週やってきた。一人でバーに座って、時々世界中の友達を連れて。空港に行く前。旅から帰って来た途中。いつもブッチは入ってくるとこっちを見て、大きくてしっかりしたハグと挨拶のキスをくれた。そして、私に何か変化があると遠くからでもすぐに分かった。ブッチは、何でもわかった。失恋したときも、仕事でうまくいっていないときも。ブッチの選ぶ言葉はいつも適切で、極度に私が落ち込んでいたときにくれた言葉を、今もずっと心の支えにして覚えている。二人でフルトンモールの生地屋に行ったことも、スリフトストアに行ったことも。
病院で今日会ったブッチは、いつものブッチだった。思っていたよりも元気で、本当に、あのいつもの。おしゃれな洋服だけは病院の患者の服に変わっていた。でも、素敵なスカーフを巻いていつものサンダルをはいていた。一度に二人までしか面会できないというのに、面会の人が続々とやってきて、Thaisと3人で限られた短い時間を過ごした。ブッチにお別れを言うとき、あのいたずらな目が覗いて、それを見たらもうダメだった。
誰にとっても特別で、寛大でユーモアがあって、時々厳しい芸術家。ブッチにはいつもブッチのリズムがあってそれに鼓動するように人が集まっていた。いつも。今日も、病院でも。ブッチありがとう。
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